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2020-10-10

ひと月の和菓子【2020神無月】

20201002

今月のテーマ まめいちと豆の木

まめいちで大切に育てている一粒の小豆から芽吹いた命「豆 c han 」。日ごと成長する豆c han からの連想はジャックと豆の木へと広がりました。

 

頓珍羹

禅語の『且緩緩(しゃかんかん) 』は落ち着いて肩の力を抜いて。あせらず、あわてず、ゆっくりと。一休さんも、「あわてないあわてない 一休み一休み」と言っています。

栗たっぷりの栗羊羹を食べてゆっくり休んでくださいね。

あれ?『食べるべからず』と書いてある。食べたいのにー! どうしたらいいの?「一休さーん」

原材料:北海道小豆  栗  砂糖  寒天

 

有ル

禅とは、悟るとは「無」の境地。自分の心から離れ、あるがままの姿を受け入れる。こだわりを捨て自然と一体になる。

「有るけど無い 無いけど有る」

ここに和菓子が有るけど無い。無いけど有る。この菓子は、10 年ぐらい前にお習字の先生からアイディアをいただいて作らせていただいたものです。無花果あん入りこなし製です。

原材料:大手芒  砂糖  北海道小豆  無花果  白石産  ササニシキ米粉  白玉粉/金箔  銀箔

 

味噌松風

座禅に集中していると、ある時から周りの音がクリアに聞こえてきます。心静かに鳥の声、 風の音、上の部屋から
は 茶釜の湯の沸く音が聞こえてきます。茶釜が沸く音を「松風」とも言います。

まもなくこのビルの4 階にサラリーマン茶人小谷さんによって『面白庵』というお茶室がはじまります !ワクワクしますね。

原材料:薄力粉  砂糖  牛乳  太白胡麻油  生姜  大手芒  白みそ  松の実  ほおずき  蜂蜜  ケシの実  りんご酢  重曹

 

栗しぼり

熊本県産の栗を丁寧に裏ごし、栗のお美味しさを引き出す程度のお砂糖と、味わいにっぐっと深みが増す米飴を合わせて心を込めて茶巾できゅっと絞りました。笑顔こぼれる美味しさです。

原材料:熊本県産栗  砂糖  米飴

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  「ジャックと豆の木」のあらすじ

一晩でニョキニョキと育った豆の木にのぼり、人食いの巨人の家に入り込み、金貨、金の卵を産む鶏、金の竪琴を3度に渡って盗んできて、幸せにくらすというお話。

おや…いくら人食いの巨人だからといって、いろいろ理由があるにせよ…盗んでしまってはあきませんやろ。イギリスの童話ですが、「怖いもの知らずは、時に凄い事を成し遂げる」という教訓とも言われています。ジャックは金を求めて一心にのぼり、金をつかみ取って降りてきます。

あなただったら、その天空に何があるのだとしたら 一心にのぼりますか?

『まめいちと豆の木 』

あるところに、まめいちという和菓子屋が 「お客様が明るい笑顔になる和菓子って どんなお菓子かなぁ
」 と考えながら、美味しいあんこを炊こうと小豆をガシガシと洗っていました。あまりに勢いがいいもんだから、ひと粒の小豆がポーーーーーーン!と窓の外へ。

次の朝、その小豆は豆の木に成長し天まで伸びていました。まめいちは ひょいと木にのぼりました。それはまるで天にかかったはしごのようでした。
3階までのぼりますと「くらし座」の大村さんが家具の話を熱く語ってるのが見えます。4階「面白庵」では小谷さんが茶道教室の真っ最中です。まめいちはのぼってのぼって…とうとう天に つきました 。いったいどのくらいのトキがたったのでしょう。のどはカラカラお腹はペコペコ…。

ひたすら歩いていると、幅の広い長い道から長い石段へと続いていたので、へとへとになりながら必死でのぼりますと、湧水を見つけたので、カラカラになったの どを潤しました。しばらくすると川があり、飛石で向こう岸にまでポンポンと渡 り、草むらに分け入り進んでいきました。 草むらに何があるのか少し怖い気もしましたが、ここを抜けると良いような気がしたので、どうにか抜け切ろうと進みます。

やっとの思いで草むらを抜け出すと、そこには崖があり、そーっと崖をのぞいてみるとおいしそうな実がなっていました。崖を恐る恐る降りてその実をもぎり一口食べると 、ナントまーその美味しいこと美味しいこと。

あーーーーーーーーーーーーーーーーーあ♪

ポニョん

油断した一瞬に崖から落ちてしまいました。

あれ?何かやわらかいところに落ちたみたい。 まめいちは大きな大きな手のひらに落ちました。 その手のひらは動き出し、「西遊記」孫悟空の觔斗雲 (きんとうん) のように天空をものすごい勢いで進みます。 はじめは落ちてしまうので はないかと心配しましたが、慣れてくるとなんと気持ちがよいこと でしょう 。

まめいちは手のひらに話しかけてみました 。「手のひらさん!いったいどこへ行くの?」 すると手のひらは 「あなたが行こうとしていたのに行きそびれているところへ お連れします。 」

着いたところはさらに天空雲の上。その雲の向こうに…お寺が建ってい ます 。寺の門までやってくる と、『禅道場 豆寺』と書いてあ ります 。 中に入ってみると、ぽくぽくぽくと音が聞こえますが、人の気 配はありません 。

すると…どこからともなく「よくいらっしゃいましたねぇ。まぁどうぞゆっくりしていってくださいね ぇ。その丸いお座布団に座ってどうぞ…」 と聞こえてきましたので、お言葉に甘えて座り、なんだか心地 が良くなってきました。

どのくらいの時がたった か… 。座って心を落ち着けて いると自然と目は半目、 両手はお腹のあたりで合わせていました。悲しいわけでもないのに目からはツーっとあたたかい涙が流れてきます。それは、 なんともなんとも良い 気持ちです。 言い表すとしたら…母のお腹の中にいたときの感じたまごだったときの感じ…

ここまできて、まめいちはハッとしました。行こうとしていて行きそびれているところ…

禅ZENの世界だ!!

京都・有斐斎弘道館 手のひらの自然 京菓子展 2020年テーマ『禅ZEN』京菓子展は毎年開催されています。工芸菓子部門。大賞目指すぞ!と意気込んでいたのでした!!!今年も沢山の公募があったようです!どのような作品が入賞するのか楽しみです。

禅 とは、座禅を基本とする修行形態です。中国禅宗の開祖は菩提達磨(ぼだいだるま)インド人仏教僧で520年インドから中国へ渡り禅を広めました。福井県 永平寺の開祖 道元禅師は真実の仏法を求め中国大陸に渡り、達磨大師の流れを汲む妙浄禅師から正伝の仏法を身につけ帰国し伝え広めました。

只管打坐。(しかんたざ)ただひたすらに座禅をすること。悟りを求めたり、高徳を求めたり、何かにすがるのではなく、なんらの目的も持たずに、ただひたすら座禅することが重要であると言っています。座禅によって、心を定めてゆく。仏は外にあるのではなく、自分の中のずっと中にあるのです。

身心脱落(しんしんだつらく)あらゆる自我意識を捨ててしまう事。角砂糖に例えるなら、人はいつも自分の角ばった砂糖の状態を維持しようと、ぶつかり合って傷つきあいボロボロに崩れます。自我を保つため、角を修復しようと躍起になります。道元の身心脱落は、そんなの修復なんかしないで湯の中に放り込めばいいではないか。角砂糖という状態でなくなっただけで、全量は変わっていない。わたしという全存在を、悟りの世界、心理の世界、宇宙そのものに投げ込んでしまえばいいというのです。生活に役立つNHKテキスト情報サイトより

色即是空 空即是色(しきそくぜくう くうそくぜしき)とは、現世にあるあらゆる物事には全て実体がない空無である。実体がないこと(空)が、この世のあらゆるモノや現象を形成している。

………pokupokupoku

「まめさん!まめさん!起きてください!豆chan抱えて寝てたんですか?」

おや?スタッフの高橋さんの声が聞こえる…。あれ?夢?夢だったのか? でも、この現実と思っている今も夢 かもしれませんよ。

20201001

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