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2024-02-06

ひと月の和菓子 【2024如月】

 

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源氏物語を読み解いていると、香りの描写が多いことに気がつきました。

今月は香り、匂いについて深掘りしていきたいと思います!

 

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にほひ

香り、「にほひ」とは周囲に余韻のように広がっていく様をあらわす言葉で生命力や命の源をあらわすのではないかとも考えられると、有斐斎弘道館の濱崎館長の記述を読みました。

和菓子にも「にほひ」と呼ばれる部分があります花の細工であれば、花粉に見立てる部分の事です。可愛らしい中に、力強い生命力を表現したいと思い、何になるかわからない何かの生命をイメージしてみました。

白餡とこし餡の合わせ餡をこなしで包み「にほひ」をあしらいました。

原材料:大手芒 砂糖 北海道大納言 干し梅 ササニシキの米粉 羽二重粉 かたくり粉

 

 

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馥郁 ふくいく

梅の香りは人を優しく包みます。きっと何か不思議を隠している。梅の木の近くで深呼吸すると、春が来たと細胞にまで行き渡り心が開放されます。

優しい春の穏やかさを、ハイビスカスとサフラワー入りの梅酒の錦玉羹と、白胡麻の羊羹の2層仕立てでイメージしてみました

 

原材料:大手芒 砂糖 梅酒 白胡麻 ハイビスカス サフラワー 練乳 寒天 水飴

 

 

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椿餅

椿餅は日本最古の餅菓子と言われています。源氏物語の第34帖「若菜上」源氏の六条院での蹴鞠の会の後、若い人たちがはしゃぎながら取って食べている甘いもののひとつとして椿餅が登場しています。紫式部も食べたかしら?椿餅をおやつにして、源氏物語の世界に浸るなんていかがでしょうか。贅沢なひとときとなることでしょう。

北海道大納言のこし餡を道明寺のお餅で包み、椿の葉ではさみました。

 

原材料:北海道小豆 砂糖 道明寺粉 /椿の葉

 

 

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初音

鶯は、春を告げる鳥。春告鳥。古くから鶯の鳴き声は愛でられてきました。秋から冬にかけては「チャッチャッ」と「笹鳴き」と呼ばれる鳴き方をします。暖かくなってくると「ホーホケキョ」と美しく鳴き春の訪れを告げるのです。うぐいす餅は、もうすぐ暖かい春がやってくるんだなぁと嬉しい気持ちにさせる菓子のひとつです。

北海道大納言のつぶ餡を求肥のお餅で包み、青ばたきなこをまぶしました。青ばたきなこ特有のフレッシュな香りとともにお楽しみください。

 

原材料:北海道大納言 砂糖 白玉粉 青ばたきなこ

 

 

源氏物語と香り

有斐斎弘道館『一席一菓』の菓子展で、夢枕獏さんの小説 陰陽師『菓子女仙』から和菓子にさせていただくという、贅沢な経験をさせていただきました。

(この菓子展は2月12日まで開催しております。私の作品も2種展示していただいておりますので是非とも足をお運びください!)

白梅の香りがテーマの物語。

「梅が匂っている、わずかな風の中にも、ほのかな甘い香りが含まれていて、息を吸えば、肺から血の中にまで、優しいその匂いが溶けてくるようであった」という出だしからはじまります。風にはいくつもの層が重なっていて、層によって、微妙に匂いの濃さが変化する。その匂いの濃淡には、あわいほのかな色までついているようであった。」と梅の香りには幾つもの層になっていて、色までついていると表現されています。

香りの歴史は、仏教の伝来とともに日本に持ち込まれました。日本最古のお香の記録は、『流れ着いた流木を薪に火をくべたところ得も言われぬ香りが漂った』と、日本書紀に記されています。奈良時代になると香りは、魔除け、厄除け、防虫などの目的で使われ、平安時代になると日常生活のためのお香として取り入れられてゆきます。平安時代の貴族にとって身につける香りはとても重要で、男女ともにひとりひとり自分の香りを持っていました。顔が美しいということより、香りの良い女性は美人とされており、美の基準でありました。自分のオリジナル薫物を創作することは平安貴族にとって、教養やセンスの良さ、財力を表現するものでもあったのです。

源氏物語の中にも、念入りにお香を調合するシーンが見られ、香りの描写が多く登場します。

これは、香りが重要だった時代ならではの、源氏物語を虜にさせる為の五感を使った紫式部の執筆テクニックではないか⁉そんな風にも思うのです。読み手に香りを想像させることで、より物語の中に引き寄せ、読み手の感覚とリンクさせることで更にワクワクさせ物語の世界に引きずり込んで続きが読みたいというふうに物語の虜にした。のではないだろうか⁉それを狙ってやっていたのか自然にそうしていたのか、天才であることは間違いありませんので。はい。

現代、香りのつかないお線香、香りのつかない柔軟剤と、無臭が良いとされるムシューダの傾向にありますが、自分の香りを作って楽しむのもまた良いのかもしれませんね♡

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