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2023-07-09

ひと月の和菓子【2023 文月】

20230705

今月のテーマ 宮沢賢治の世界

 暑い日が続きますと、涼を求めて銀河へ旅がしたくなるのは私だけでしょうか。

七月七日 七夕伝説 天の川 銀河ステーション…。

まめいち鉄道へようこそ。

 

Fossil・150万年の眠り

宮沢賢治は詩人、童話作家、教師、そして、独学で学者以上の地質学知識を有していました。日本ではじめてくるみの化石を発見したと言われています。

眠っている胡桃をイメージした東北の郷土菓子胡桃ゆべし入りの錦玉羹です。

原材料:白玉粉 くるみ 黒糖 砂糖 しょうゆ オブラートパウダー 水飴 寒天 

20230707

 

水晶の星 白鳥の停車場

白鳥の停車場は自分探しの駅。みんなちがってみんないい。十人十色にいいところがある。自分の原石を探して、掘り起こして見つけたら磨くといいよ。

大手芒甘納豆入りの白餡のこなし製です。

原材料:大手芒 砂糖 ササニシキの米粉 羽二重粉 寒天 オブラートパウダー/金箔 銀箔

20230706

夜空ノムコウ

あああの白いそらの帯がみんな星だというぞ。ところがいくら見ていても、その空はひる先生の云ったような がらんとした冷たいところだとは思われませんでした。それどころでなく、見れば見るほどそこは小さな林や牧場やらある野原のように考えられて仕方なかったのです。

銀河ステーション!さあ。夜空の旅のはじまりです。

グレープフルーツの甘酸っぱくさっぱりとした錦玉羹です。

原材料:大手芒 グレープフルーツ 砂糖 バタフライピー オブラートパウダー/銀箔

20230708

Coalsac そらの孔餅

南十字座のα星の真東にある暗黒星雲。石炭袋。どほんとあいたそらの孔。そのどほんとあいたそらの孔をお菓子にしたらどんなふう?

ほのりと苦くてほのりと甘くて、それはきっとぶるんぶるんとした黒い雲の雨雲のたまごのような今までに経験したことのない弾力のはず。

ということはこれしかない!まめいち人気の本わらび餅!

北海道小豆のこしあんいりの本わらび餅です。

原材料:北海道小豆 砂糖 本わらび餅 特選きなこ 

20230709

 

宮沢賢治の世界

宮沢賢治は37年という人生の中で、詩は800ほど、童話は100ほど膨大な数の作品を生み出しています。

代表作として『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『ポラーノの広場』『注文の多い料理店』『どんぐりと山猫』『よだかの星』『やまなし』『セロ弾きのゴーシュ』etc…

 

中でも『銀河鉄道の夜』は読み返す度に気がつくことや想像の幅が広がるのを感じます。

物語は、ジョバンニという少年が天の川銀河を走る列車に乗って、親友のカムパネルラと北十字(はくちょう座)から南十字(みなみじゅうじ座)まで『ほんとうの幸い』を探す旅をするお話です。

天の川を昔の人は、川や乳が流れていると考えてきましたが、実はそれは二千億個もの星の集まりで薄い渦状の円盤になっていて川や乳が流れているように見えたのでした。

 

北十字(はくちょう座)は夏空高く天の川に重なっています。はくちょう座のくちばしのところの星はアルビレオです。肉眼では1つに見えますが、望遠鏡で見ると、青色と金色の二重星です。「天の宝石」と言われるほど美しい星です。

まるで火花でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物が四棟ばかり立って、その一つの平屋根の上に、眼もさめるような、青宝玉(サファイヤ)と黄玉(トパーズ)の大きなすきとおった球が、輪になってしずかにくるくるまわっていました。

 

宮沢賢治の宇宙観は現在に通用するもので、それをファンタジーに織り交ぜながら物語が繰り広げられます。

 

「あ、あすこ石炭袋だよ。そらの孔だよ。」カムパネルラが少しそっちを避けるようにしながら天の川のひととこを指さしました。ジョバンニはそっちを見てまるでぎくっとしてしまいました。天の川の一とこに大きなまっくらな孔がどほんとあいているのです。

石炭袋とは暗黒星雲のことです。当時の最新の天文知識をどのように入手していたのでしょう。

銀河鉄道の終着駅南十字(サザンクロス)のすぐそばに、この石炭袋そらの孔があり、それをどうとらえるかは読者に委ねるようになっています。

 

ほんとうの幸いの答えを賢治さんは教えてくれるのでしょうか?

星の世界をめぐりながら『銀河鉄道の夜』をゆっくり読んでみるのもいいかもしれませんね。

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