氷室の節会と夏越の祓 (ひむろのせちえ なごしのはらえ)
古く宮中やでは6月1日に氷室に保存していた氷を食べる「氷室の節会」という行事がありました。氷を口にして夏を無事に乗り切ろうと祈願していたのです。民間でも「氷の朔日こおりのついたち」といい、正月の餅を保存しておき氷餅に見立てて食べる習俗がありました。 庶民にとって氷は高嶺の花だったのですね。
水無月の 夏越しの祓する人は 千歳の命 のぶというなり 詠み人知らず
「夏越の祓(別名:茅の輪くぐり)」は、一年の半分にあたる6月末に行う祓の行事。神社の境内につくられた茅の輪や形代(かたしろ)などで日々の生活で何気なく犯してきた罪や穢れを落とし、大祓(おおはらえ)を行います。残り半年間を清らかな気持ちで元気に笑顔で過ごしましょうという行事です。
水無月 ~期間限定~
夏越の祓に食べる風習のある和菓子。 四角を半分に切って三角とし氷に見立て、一年の半分という意味も込め、邪気を払う小豆をのせて6月を意味する「水無月」と名付けられました。
原材料:北海道大納言 上白糖 薄力粉 上用粉 浮き粉 寒天 水飴
※水無月は2020.6.16~6.30の期間限定販売 です。
Earth2020 地球
地球がシャッフルされた今。今だからこそ何をおそれる事なく、なりたい自分、新しい自分にチャレンジできる時。小さな事からコツコツと!まめいちは、チャレンジするあなたを応援する菓子、チャレンジする人を支えるあなたを癒す菓子、この時代に生きる和菓子職人として心を込めて作ります。
6月16日は『和菓子の日』この日に由来する時代の和菓子職人は、どんな思いで菓子を作っていたのだろう…
原材料:大手芒 北海道小豆 砂糖 薄力粉 上用粉
福七果
福で七と言いますと、七福神。「七難即滅七福即生」禍(わざわい)転じて福と為す という考えから七福神の信仰が生まれました。ふりかかった災いをうまく利用して、どうしたら自分の未来は明るいのかを工夫する時なのかもしれません。七つの福を菓子に込めてみました。
真ん中の果実はスーパーフード!茨城県の結農実WORKSさんのオーガニック食用ほおずきです。この美味しさでパァーっと視界が開け妙案が湧くことまちがいなし!
原材料:大手芒 ドライインカベリー カシューナッツ くるみ アーモンド グリーンレーズン ケシの実 砂糖 牛乳 卵 薄力粉 上用粉 蜂蜜 胡麻油 りんご酢 重曹
梅の七徳
6月16日から20日頃を指して七十二候では「梅子黄(うめのみきばむ)」青々と大きく実った梅の実が黄色く色づき始める頃のことを指します。梅の実は万病に効くとされ奈良時代に薬用植物として中国から伝わりました。七つの徳をお授けくださるそうです。
梅を食べると体の中で一体どんな徳なことが繰り広げられているのでしょうか…。山形の乃し梅本舗 佐藤屋さんの美味しい乃し梅で和菓子にしてみました。佐藤屋さんの乃し梅が龍のように見えてきました♪
原材料:砂糖 梅肉 北海道小豆甘納豆 水飴 寒天 チャービル
薬味七役
薬味と普通に口にしているけれど、薬味っていうくらいだから薬なのかしら…。食欲増進・芳香・風味・彩り・異臭の和らげ・防腐効果・消化を助ける。これからの季節、大葉は薬味として、そうめんのわき役としての登場が多いけれど、免疫力を上げてくれたり、疲労回復、身体を温めてくれたりとどんどん登場しても良いですね。こちらの菓子では大葉は主人公です。
原材料:北海道小豆 砂糖 道明寺 大葉 醬油 藻塩
~今月の栞より~
6月16日は『和菓子の日』
和菓子の日は、昭和54年全国和菓子協会が制定した記念日です。
なぜ記念日にこの日が選ばれたかといいますと、さかのぼりまして、平安時代の中頃、仁明天皇(にんみょうてんのう)の時代に疫病が蔓延してしまったことで、元号を「承和」から「嘉祥(かしょう・かじょう)」へと改め、6月16日厄除け・健康招福を願って16個の菓子や餅を神前に供え「嘉祥の儀式」を行い、宮中で食べていました。これを起源として、毎年6月16日に菓子を食べる「嘉祥菓子かじょうがし」の習慣ができ江戸時代まで続いたのだそうです。
平安時代の菓子というと、木になる果実、柿・栗・梨・柑子などの果物のことを指しています。甘みのあるお餅も登場しています。平安時代の書物「源氏物語」の中に、若い人々が蹴鞠のあとに梨や柑橘類や椿餅を食べる場面があります。椿餅はお餅に甘葛(あまづらと言って、ツタの汁を煮詰めた甘味)で甘みをつけて椿の葉っぱにはさんだものです。
これは平安時代の菓子職人の手にお餅がつかないとようにとの心遣いからうまれたのかなぁ…それとも神様にお供えするために葉にはさんだのかなぁ…などと思いを巡らせます。平安時代の菓子は神と人とをつなぐものとして神前に供えられ年中行事に欠かせないものでした。
江戸時代には、大久保藤五郎(大久保主水)という菓子司が中心となり「嘉祥菓子」に深く関わったそうです。大久保藤五郎は徳川家康の小姓を務めておりましたが、合戦で鉄砲を腰に受け落馬し歩くのが不自由になってしまい、合戦には出られなくなってしまったのですが、菓子作りが得意となり、徳川家康に茶菓・餅を献上する役割を担いました。毒入りを恐れて普段お餅を食べなかった徳川家康でしたが、大久保藤五郎の作った三河餅は好んで食べたのだそうです。徳川家康にとって心からの信頼おける菓子職人だったのだなぁ…と思いを巡らせます。
このころになると、16個の菓子を食べるのは大変という事などもあり、16の1と6を足して7個の菓子を作る「七嘉祥」が登場してきます。7という数字は人気の高い数ラッキーナンバーですね。「1:1.618」でお馴染みの黄金比と同じく、人が自然と「いいね!」と思うもの。不思議の数。
夜空に見える天体、水星・金星・火星・木星・土星・太陽・月も7個。虹も7色。一週間も7日。これを思いついたのが菓子職人なのかはわかりませんが「あっ!!!1と6を足したら縁起の良い数の7になるじゃーんヽ(^o^)丿」と喜んだことでしょう。