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2025-03-05

ひと月の和菓子【2025 弥生】

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仙台はまだまだ寒いですが、三月と聞くと春の訪れを感じますね。

 

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夢見草

桜のことを夢見草ともいいます。いったい誰が名付けたのだろう。ふわふわと咲く桜はまさにまるで夢を見ているよう。華やかで美しくそして儚い。春を迎える喜びと、桜の花に、春の神様の佐保姫を重ね合わせてイメージしました。

 

刻み桜の葉入りのホワイトチョコ餡を合わせ餡で包んだこなし製です。

 

原材料:大手芒 北海道小豆 砂糖 ホワイトチョコ 桜の葉 ササニシキの米粉 羽二重粉 寒天 片栗粉

 

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咲祝餅(さきわいもち)

新年を祝う縁起菓子『花びら餅』から着想を得て生まれた、春の到来を祝う餅菓子です。 まだ蕾の状態の桜の姿に見立てた金平ごぼうを、ハニーピーナッツ入りの仙台味噌餡と共に金胡麻を練りこんだ餅で包みました。 菓銘は、あたり一面に植物が花を開き、実を結んで、人間に心地よさや収穫の喜びをもたらしてくれる状態を意味する「幸い(さきわい)」、古語では「さきはひ」と呼ばれ、「さき」は花が咲くの「咲き」、「はひ」は地を這うことの「這い」で、ものごとが地を這うように広がっていく様子を表すこの言葉から『咲祝餅(さきわいもち)』と名付けました。

あまじょっぱさとナッツのアクセントがクセになる味わいを是非ご堪能ください。

作・千葉瑞葵

原材料:大手芒 砂糖(国内製造)上新粉 白玉粉 ごぼう 人参 仙台みそ ピーナッツ 金胡麻 しょうゆ 日本酒 片栗粉

 

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渾身の桜餅

和菓子の中で何が一番好きですか?と問われたらいの一番に「桜餅!」桜餅の季節をどんなに心待ちにしていたか♡そんな私は、桜餅の葉っぱはもちろん食べる派です!なので、桜の葉はどのくらい塩味を残すか、葉の厚みは厚いとバリバリしてはいけません。薄すぎても味気がなくていけません。手の感覚でちょうどよい厚みを選別します。

もっちりとした道明寺のお餅中のこしあんはすうっととけるような口どけ極上の桜餅をお楽しみくださいー!

 

原材料:北海道小豆 砂糖(国内製造)道明寺粉 桜の葉

 

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~二十四節気七十二候和菓子~蟄虫啓戸(ちっちゅうこをひらく)

春の光

春の光に誘われて、冬眠していた虫たちが地中から動きだすころ。私たちの身体の中、心の奥底の意識も動きだすころです。自分の心の深いところに春の光をあて、心の目で見てみれば、本当の気持ちに気がつきます。

さあ。春の光、とどきましたか?

北海道小豆のつぶあん入り蓬羊羹です

 

原材料:北海道大納言 砂糖 蓬 砂糖 寒天 水あめ/金箔

 

春うらら

希望を胸に寒さに耐えておりました。風の中にふと「ぬるむ」瞬間。それはなんとも言えぬ、どこから湧き出るのか幸せの瞬間。

今月は春の到来を祝う菓子たちです。

 

3月のことを、「弥生やよい」と言いますが、語源は「草木弥生月くさきいやおいづき」が変化したものなのだそうです。木や草がますます生い茂る月。眠っていた生物たちが動き出し、さあ起きるぞと、両の手をぐぐんと伸ばし、背を伸ばし、大地が色づき始める月。日に日にあたたかくなり、うれしくなり思わずにっこりしてしまいます。次々と花を咲かせる草木たち、春の空気の中にはいっぱいの笑顔があるのです。

先日こんなことがありました。母を車椅子にのせ、施設の近くの薬局に連れて行ったとき、どこからか、ふっとぬるい風がふきました。「春の妖精が笑ったのよ」母がそんな風に言ったので、「お母さん!ここでも妖精笑った!ここでも笑った!」とふざけながら、笑い合っていました。(知らない人が見たら不思議な親子。親が親なら子も子であるのである)

春の風のゆるんだ空気の中には沢山の妖精が集まっていて、花を咲かせているのだろう。そして、どこからやってくるのか湧き出てくる幸せの不思議は、神様の仕業です。春の光の神様がわたしたちに、幸せのおまじないをかけているってそんな風に感じます。

日本での「春をつかさどる神様」は佐保姫です。白く柔らかな春霞の衣をまとった佐保山に宿る若々しい女神様です。佐保姫は、桜をはじめとする、美しい春の景色を象徴し、豊穣と新しい命、季節の変化の象徴として信仰されてきました。優しく穏やかで慈悲深い佐保姫は、春の訪れと共に、希望と幸せをもたらします。佐保姫が笑うたびに、花がひとつまたひとつと咲いて野山をやさしい春色に染めて行きます。春の幸せの瞬間を感じたら、それは佐保姫からの春色のプレゼントです。

 

受け取れる心の空間をあけておきたいと思います。

 

ひとりの人間としても、季節を感じ表現する和菓子職人としても、今年も春の訪れに感謝して。季節を感じて菓子を作れる事に感謝して。

心を込めて、笑顔の菓子をひとつひとつ花咲かせて行きたいと思います。

 

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