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2023-03-05

ひと月の和菓子【2023 弥生】

20230301

今月のテーマ 嵯峨天皇と空海

花は「梅」かそれとも「桜」か。
吹く風が穏やかで桜の花も目覚めはじめ嬉しい気持ちがふくらみます。奈良時代において花と言えば梅だったそうです。花と言えば桜となってきたのが平安時代。嵯峨天皇が桜を愛でながら漢詩を作って遊ぶ催し物を開催されていたのが始まりと言われています

 

弥生の空

嵯峨天皇は桜をこよなく愛したと言われています。「御車返しの桜」と言われている桜が京都・地主神社にあります。嵯峨天皇はあまりの美しさに二度三度と車を引き返しては見事に咲く桜を眺めたそうです。

嵯峨天皇の信頼を得た真言宗・空海。嵯峨天皇は空海にありとあらゆる相談をしていただろうと推測されます。その空海も桜とは関係が深く、珠洲市宝立町の法住寺には「なき桜物語」という伝説。岩手県雫石町の岩出山神社えと続く参道にあるエドヒガンの古木は「弘法桜」の伝承が残っています。

嵯峨天皇と空海の間で桜という花は、奇跡の桜か、何か不思議な関係性を感じずにはいられません
桜を愛でるとき、人は顔を上げます。下を向いていないで、上を向いて歩こう。

小豆の甘納豆入りの合わせ餡の桜の花の塩漬け入りのこなし製です。

原材料:大手芒 砂糖 小豆の甘納豆 桜の花の塩漬け ササニシキの米粉 羽二重粉 /金箔

 

Narangaサンスクリット

嵯峨天皇に空海が自作の詩とともに柑橘の実をおくったという記録が残っています。

「柑橘の霜にあいて 美なるに如かんや」

解釈:冬の寒さのような辛い苦しみに耐える力が、やがて美しく輝いた成果として現れてくる。

「星の如く 玉の如く 黄金の質」

解釈:この柑橘は星のごとく玉のごとし黄金の質なり

菓祖神・田道間守が常世の国から持ち帰った不老不死の実を思わせる詩とも思えるところが、流石空海であります。

「みかんの大トロ」と言われているせとかをふんだんに使い羊羹に仕上げました。中にはクリームチーズあんを忍ばせて春の麗らかな味わいです。

原材料:せとか 砂糖 クリームチーズ 蜂蜜 大手芒 木の芽 寒天     

 

蓬饅頭

空海の教えの中に、蓬は外的な災難を防ぐことができるとあります。金と銀は天地の精髄。
大阪経大論集 第68巻第6号を読んでいると不思議と元気になる感じがあります。元気になる饅頭をつくりたいそんな思いで調製いたしました。

中はしっとりつぶ餡、蓬たっぷりの黄身時雨です。

原材料:大手芒 砂糖 北海道小豆 蓬 卵黄 上新粉 ベーキングパウダー 金箔銀箔

 

大島桜の桜餅

大島桜は3月から4月、5弁の白い花をつけ淡い甘い香りがします。染井吉野などの多くの園芸品種を生み出した桜です。このさくらの葉っぱを塩漬けにしておいしい桜餅を作ることができます。塩漬けにした葉の独特な香りはクマリンという成分で脳も体も癒される効果があるのだそうです。

六つ割道明寺のなめらかさと、すっきりとしたこし餡、桜の葉の塩味と共にお楽しみください。

原材料:小豆 道明寺 砂糖 大島桜の葉

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