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2022-05-26

ひと月の和菓子【2022皐月】

20220502

今月のテーマ「心の旅 松尾芭蕉」

気候も過ごしやすく旅をするのに良い季節ですね。しかし、旅をするのはなかなか簡単な事じゃないよ。という方も多いかと思います。

ではでは、『心の旅』へ出かけるのはいかがでしょうか。目を軽く瞑って深ーく深呼吸をしたら、さあ出発です♪

 

本わらび餅

松島の美しさを称えるために、あえて俳句をおくのほそ道に入れなかった芭蕉さん。こちらの菓子、あえてあれこれ言わずとも、とにかく美味しいのです。ね、芭蕉さん。

原材料:北海道小豆 砂糖 本わらび粉 特選きなこ 

 

千年の形見

五月雨や 降りのこしてや 光堂

こちらの俳句は中尊寺金色堂で詠まれたもの。金箔に覆われた光堂は、四面を囲うことで風雨や霜雪に耐え千年前の姿を今に残しています。無常のはかない世の中、しかしここだけは降りのこしてくれたのだなぁと希望をふくらませてくれる一句です。

千年前の完成したばかりの金色堂は、それはそれは燃えるように光り輝いていたことでしょう。夜空に燃ゆる光堂をイメージしてみました。

佐藤屋さんの乃し梅羊羹とバタフライピーの錦玉羹です。

原材料:乃し梅 大手芒 砂糖 バタフライピー べに花 寒天/金箔

 

月の肌

閑さや 岩にしみ入る 蝉の声

こちらの俳句は山形県立石寺、山寺で詠まれたもの。山寺を這うように登り参詣。ただただ心が澄み切っていくばかり、鳴きしきる蝉の声も静寂を均一にしたように、岩にしみているようだ。

山寺の岩は、まるでお月様の肌のようでいろいろなモノを吸い込んでくださっているような寛大さを感じました。

精神は宇宙にあり、肉体の蝉の声は一枚岩越しに聞こえているような感覚。岩にしみている蝉の声をイメージしてみました。

原材料:大手芒 砂糖 黒胡麻 もち麦 白米 寒天

 

かるみ

芭蕉さんが「おくのほそ道」の旅で得た境地は、「不易流行:永遠に変わらないことを忘れず、新しみや変化も同様に取り入れて行くこと」「かるみ:重くならず、理屈や細工を離れ、観察眼の鋭さと的確な語を選び抜く力。簡潔な一句を選び抜く力。」

この「かるみ」とは、重みを知ったものにのみ知ることのできる境地。酸いも甘いもかみしめたものにのみ知りえる真髄。

分銅をイメージした重みの上にかるみの白あんを絞りました。

原材料:大手芒 砂糖 デーツ エゴマ 寛文五年堂みそ

 

柏餅

柏餅は夏の季語です。ココで一句。

満面の 笑みでほおばる 柏餅

国産の香りのよい柏の葉を巻いて香りを移しております。白みそ餡、北海道小豆のこしあんの2種ございます。

原材料:【みそ餡】大手芒 上新粉 羽二重粉 石野の白みそ 砂糖 /柏の葉 【こしあん】北海道小豆 上新粉 羽二重粉 砂糖 /柏の葉

 

20220501

 

 

5月16日は『旅の日』

江戸時代の俳人:松尾芭蕉が、門人の曾良と「おくのほそ道」に出発した日にちなんで制定されました。

「おくのほそ道」というと沢山の有名な俳句があり、例えば「古池や…」と初句を聞けば「蛙飛び込む 水の音」と出てくるくらい。俳句をあまり知らなくても、なんか知っている、聞いたことがある。そうそうこちらも「夏草や…」と初句を聞けば、「兵どもが 夢の跡」。

松尾芭蕉は46歳の時に「おくのほそ道」への旅を決意しますが、人生50年と言われている時代に、何を思い、何を探りたくて旅に出たのでしょう。

新たな俳句の世界

言葉遊びであった俳句の世界から、芭蕉は心の世界を俳句に読み込んでゆくという事に気がつきました。

心に浮かんだ風景を詠む。

現実と心の風景を重ねて詠むことで、伝統的な和歌の世界に通じるものがあるのではないかと思い、みちのくへの旅の中でそれを試してみたくなり、行かねばならぬ!居ても立っても居られなくなり、これを腑に落とさねば死んでも死に切れぬ!という心境だったそうです。

江戸・深川を出発して福島・宮城・山形・ちょっとだけ秋田・新潟・富山・金沢・大垣

150日間2400キロ!!!

歌枕を巡りその名所で新しい俳句の世界を試してみたいというのも目的にあったそうです。

(※歌枕とは、古代。中世の歌人たちが歌で作り上げた名所の事)

ところが、歌枕の名所を訪ねるも、廃墟になっていたり、あるにはあるが、ぞんざいに扱われていたりとすっかり落ち込んでいましたが、宮城県松島に到着した芭蕉はその美しさに「美人がさらに美しく化粧をしているようだ」と絶賛しています。

絶賛しているにも関わらず、なぜか芭蕉は松島で詠んだ俳句を「おくのほそ道」には入れていません。

(※「松島や ああ松島や 松島や」と詠んだと言われていますが、これは芭蕉の俳句ではないのだそうです。)

芭蕉は、あえて書かないことで松島の素晴らしさを称える。心の表現のひとつととらえ、読む人への良い意味での裏切りでもってワクワクと想像力を搔き立てる効果を狙ったのです。

芭蕉さん現代に生きておられたらプロデューサーで手腕を発揮しそうですね。

 

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